いつの頃からか 運動会が嫌いだった。
小学校時代の記憶
小学校は嫌いではなかった。
友達ともよく遊んでいたし、イジメられていたという記憶もない。
ただ、私は少し発育が遅かった。
背は、クラス(1クラス:42人)の中で一番小さく、給食は5時間目までかかっても食べきれなかった。
好き嫌いがあるわけではなく(グリンピースだけが苦手だったが、だからといって食べれないわけではなかった)給食も美味しかった。
でも、
量が食べれない
食べるのが遅い
ただそれだけだった。
時には、下校時刻まで一人で食べていたこともあった。
当時は「給食を全部食べる」ということが、授業を受けることよりも重要だったのだ。
そんな私は走るのも遅かった。
でもそれに気付いていなかった。
地区対抗リレー
私の地区は、同級生が女子だけで8人もいたが、1つ下の学年は0人だった。
地区対抗リレーは、1年生から2年生、2年生から3年生と順に6年生までバトンをつないでいくリレーだ。
該当の学年に生徒がいない場合、通常は下の学年から繰り上げで出る(3年生がいない場合は、2年生が出る)のだが、1年生がいない場合は未就学児から選ぶわけにもいかず、2年生の一番足の遅い子が選ばれる。
選ばれたのは私だ。
「走るのは嫌いじゃないけど、1年生で出るのはイヤだな…。」と思ったが、仕方なく全力で走った。
そして一番最後にバトンを渡した。
ただそれだけのことだ。
運動会前になると学校へ行きたくなくなる
それからだったか、もともとだったのか、はっきりとは覚えていないが、運動会が近づくと学校が楽しくなくなってきた。
「苦手なことも嫌いなことも一生懸命する」と教えられていたので、すべての競技に全力でがんばった。
でも、追いつけなかった。
中学校時代
中学生になると、運動会で手を抜く子が出てきた。
そして初めてかけっこで3位になった。
嬉しかった。
でも、運動会の前になると憂鬱な気持ちになることに、変わりはなかった。
子供の運動会が苦痛
私には、今年9歳になる息子がいる。
「運動会」という行事から遠ざかって20年以上たち、今度は自分の子供の運動会へ応援に行くようになった。
PTA競技には参加しないし、一度も運動会の役員にはなっていない。
ただ、ただ応援するだけなのに、運動会があるというだけで毎晩決まって同じ夢を見る。
息子は夫に似たのか、6月生まれで発育が早いせいなのか、運動神経がいい。
息子は運動会が楽しみで仕方ないらしい。
かけっこもずっと1番だ。
それでも、私は運動会に行きたくない。
今年の運動会
今年の運動会は9月16日の予定だった。
9月に入ってからずっと体調が悪い。
毎日のように息子と同じ時間(20時)に寝て、仕事が終わってからも寝て、それでもずっとめまいがしていた。
「更年期かもしれない」と薬を飲み始めたが、運動会が台風の影響で延期になると分かった途端、さらに頭痛がひどくなった。
ほぼ1日中寝て過ごした。
運動会当日は、思いっきり応援した。
楽しかった。
息子のはちきれんばかりの笑顔を見て、「どうして私はこんなに運動会に来たくなかったんだろう。息子を見るだけなのに」と不思議に思った。
運動会翌日の爽やかな目覚め、スッキリした頭、軽くなった気持ちに驚いた。
そこでようやく、これがトラウマなのではないかということに気付いたのだ。
大人になっても続く運動会のトラウマ
運動会をそこまで嫌いだったことに、自分では全く気付いていなかった。
今となって思えば些細なことだが、小学生の私には受け止めきれない色々なことがあったのかもしれない。
だからといって、今の運動会を批判するつもりはないし、これからも続けてほしいと思っている。
さらにいうと、「順位をつけない」という方法は好きではない。
順位を付けなくても、1番にゴールした人が1番で、一番遅かった人がビリなことに変わりはないからだ。
ただ、幼い頃の本当にツラかった記憶は、大人になっても影響が出る場合があるのだな。と感じた出来事だった。
来年の9月はまた同じ気持ちになるのだろうか・・・。