大人の読書感想文~フランツカフカの「変身」

大人の読書感想文~フランツカフカの「変身」

おばさんの読書感想文なんて誰も読みたくないかもしれませんが、息子との交換日記ならぬ交換感想文を書いたので、ここに残しておきます。

 

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カフカ「変身」を読んで

カフカの「変身」を初めて読んだ。
読み終わった後の感想は「なんじゃこりゃ」である。

カフカの文章を読んだのは初めてではあるものの、有名な小説であることは知っていたにも関わらず、私の感想は「なんじゃこりゃ」だったのである。
それは、小学生の頃にピカソの絵を初めて見たときに、何が良いのかまったく理解できなかった感覚に似ていた。
私の心にはまったく何も響かなかったのだ。

そもそもこの本を読んだきっかけは息子(中学2年生)の一言である。
国語の文章問題でカフカの「変身」(一部抜粋)が使われており、息子が「これおもしろそう!読んでみたい!」というので、その日のうちの図書館へ行き借りてきたのだ。
2冊。

カフカの「変身」は今から100年以上前の1915年に書かれたものなので、現在では様々な出版社から改訳版も含め10種類以上の本があるのだ。
よって田舎の図書館にも数冊あったのである。

全冊貸出可能だったので、親子の交流だと思い「2冊借りてきて一緒に読もう!」と言ったことに後悔はない。
ただ、なぜ「感想文を書いて見せあおう」と言ってしまったのかについては若干後悔している。

「変身」は、そんなに長い小説ではないので読むのに1時間もかからない。
しかし、私は途中で昼寝を挟んでしまった。
好きなジャンルの本であれば2時間でも3時間でも時間を忘れて読むのだが、如何せん、この小説は最初っからつまらなかったのである。

読んだことがない人に簡単にこの小説のあらすじを説明すると、「主人公が、ある朝起きたら害虫になっていた」というものだ。

は?」である。

まぁ、こういう話は、

  • 主人公の夢または空想
  • 害虫というのは比喩である日突然そういう存在(精神的もしくは肉体的に日常生活を送れない状態)になった

このどちらかだろうと思い読み進めたのだが、話の途中で特に引っかかることはなく、まぁ強いて言うのであれば、主人公は自分が家族を支えていたと思っていたけど実は逆だったのかな?精神的病で引きこもりになった主人公と家族の話なのかな?と思った程度だ。

そもそもドイツ人が、100年以上前に書いた話なので背景がわかりにくい。
会社の上司が部屋まで起こしに来るとか、貧乏な家なのにお手伝いさんがいるとか。
ドイツの歴史や文学に詳しく、原文で読むことができればまた違ったのかもしれない。
ドイツ語で韻を踏まれたところで訳したら面白味はゼロどころかマイナスになる可能性もある。

そんなこんなで、息子が読み終えた2時間後にようやく読み終わった。
途中、いや、最初っからまったく心が動かされなかったが、きっと最後はどんでん返しのオチ(オチって言うな)が待っているのだ。あっちこっちの伏線がピタッと収まって(伏線なんかあったかな?)、もう一度最初から読みたくなるんだ。

そう期待していなかったと言えばウソになる。

そしてその期待は見事に裏切られるのだ。
最後まで読んだところで「なんじゃこりゃ」のままだったのである。

唯一よかったのは、読み終わった後に、モヤモヤすることはなかったということだ(かといってスッキリすることもなかったけど)。
なんとも言えない夢に出そうな後味の悪さがなかったので、この小説を嫌いになることはなかった。
もちろん好きになることもないが。

読み終えた後に、あまりにも「」だったので、これはまずいと、有識者の見解を知るためにネットで調べた。
するとわかったことも多かった。

そもそもこの小説のキーワードである「害虫」の訳が日本語にはピッタリのものがなく(原文はドイツ語)、「Ungeziefer」は「虫」だけを指すのではなく、有害生物全般を表す言葉なのだそうだ。
そのため、ある日突然「害虫」になっていたというのは、ある日突然「役に立たない存在になっていた」と理解している人が多いようだった。

そして、この小説のタイトルである「変身」は主人公が「害虫」に変身することを指しているだけではなく、稼ぎ頭だった主人公が働けなくなり家族のために役に立たない存在となったがために、最初は献身的に介護をしていた家族(主に妹のみ)が、やがて主人公を厄介者扱いしていくという家族の「変身」と捉えている人もいた。

また、NHKの「100分de名著」に出演している伊集院光さんは「僕が高校時代に学校に行かなくなった理由ってこんな感じだった!」、「社会の流れからドロップアウトして最後は死んでしまう。けど、主人公は実は虫の世界を生きて、そこから蝶になったりすることもある。芸人なんてそんな感じ」と語っていた。

・・・話は少し変わるが、私は、国語の授業が嫌いではなかったものの、「作者が言いたかったことは何でしょう?」という問題は大嫌いだった。
「本当に作者はそれを言いたかったの?」と疑うことが多かったからだ。
もっと深い意味があるのではないか?
逆に、そんなに深い意味をもたせてなかったんじゃないか?
その文章を読んで、何を感じるかはその人次第。
作者が言いたかったことを推測することはできても、完全なる正解などないと思っていた(今もそう思っている)。

私は、カフカの「変身」を、ある朝突然身体が動かなくなってから、自分が築きあげてきたものが偶像であり、自己満足であったことに気づいたものの、それを受け入れることができず死んでいく。
そんな話だと思った。
そして「なんじゃこりゃ」という感想しか持てなかった。
他の方の見解も「なるほど」と腑に落ちる点がたくさんあるが、結局は「なんじゃこりゃ」なのである。

私が本を読んでいる途中(睡魔に襲われているとき)、息子が「ボクが主人公みたいになったらどうする?」と聞いてきた。
そのときはまだ読了していなかったので答えなかったが、読む前から答えは変わらない。

愛する息子が「害虫」になったところで私の息子への愛は変わらないのだ。
最初はとまどい、悲しみ、気がおかしくなってしまうかもしれないが、それでも私は私の身体が変身しようとも心が変身することはない。
ただ、私が「害虫」になったときは、さっさと見切ってほしい。

なんだか重い話になってしまった。
ただ、この小説が言いたかったのはそんなことではないと思う(内容から何を得、何を思い、考えるかは自由ではあるが)。

この小説は「なんじゃこりゃ」で終わらせてよかったのではないかと私は思っている。

 

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最後に

うーと

やっぱり私は、恋愛小説や、ファンタジーや、異世界転生チートものが好きだわー。

 

同じ本(私は岩波文庫、息子は角川文庫)を読んだ息子の感想文は息子のブログにまとめました。

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フランツカフカ「変身」を読んで【読書感想文】中学生
ドイツの作家「フランツ・カフカ」の「変身」を読んだ中学2年生の読書感想文です。※夏休みの宿題ではありません

 

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