出産後しばらくは、ホルモンのバランスが崩れているので抜け毛が増えることがある。
…と聞いていたのですが、私は、出産後しばらくの「しばらく」がいつまでなのかわからないまま、2年たっても4年たっても抜け毛が止まらなかったんです。
心配になったので、産婦人科で相談したり、看護師の母、管理栄養士の妹からアドバイスをもらい、やっと抜け毛が落ち着きました。
そのときに教えてもらった
- 産後抜け毛の原因
- 予防する方法
などをまとめました。
産後抜け毛が止まらない
妊娠中はまったく気にならなかったのですが、産後は、シャンプーする度にゴソッと抜ける毛束にゾワッとする日々を過ごしていました。
ホルモンのバランスが元に戻る頃、つまり生理も再開し、授乳も終われば抜け毛も落ち着くと看護師さんに言われたのですが・・・
私は、息子をほぼ母乳で育て、1年と47日で卒乳しましたが、卒乳して1年以上たっても、抜け毛の勢いは止まりませんでした!
産後抜け毛・薄毛の原因
産後の抜け毛は、
- 産後脱毛症
- 分娩後脱毛症
とも呼ばれています。
そして、出産経験のある約7割の人が「産後に抜け毛がひどくなった」と感じているそうです。
では、なぜいきなり毛が抜けだすのでしょうか?
産後抜け毛の主な原因は、
- 女性ホルモンのバランス
- 生活習慣の乱れ・ストレス
だと言われています。
女性ホルモンのバランス
出産後に、妊娠中に多く分泌されていた女性ホルモンの、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)を元の正常な量に戻そうとするのですが、そんなにすぐに身体は反応できません。
急激な変化に身体が対応しきれないため、産後しばらくはホルモンのバランスが崩れやすくなります。
熱いお湯と冷たいお水の蛇口をどちらも全開で出していたとします。
その温度を保ちつつ、出てくる量を半分にしたいとき、なかなかうまくいきませんよね。
そんな感じです。
この女性ホルモンのエストロゲンには、髪の毛の成長を促す働きもあるので、髪が大量に抜けてしまう可能性があります。
また、プロゲステロンにも育毛を維持する働きがあるため、抜けやすくなるということも考えられます。
生活習慣の乱れ・ストレス
出産後は赤ちゃん中心の生活になります。
思うときにご飯を食べることも、好きなだけ眠ることも、ときにはトイレに行くこともできません。
そんな状況が続くと、
- 睡眠不足
- 栄養不足
- ストレス
など、抜け毛だけではなく様々な不調の原因となります。
産後ダイエットは危険
妊娠中に体重が増えてしまった人は、「早く元の体型に戻したいから」と産後すぐにダイエットを考える方も多くいらっしゃいます。
ただでさえ、ホルモンのバランスが崩れ、ストレスが多い状態ですので、この時期にダイエットをするのは非常に危険です。
とくに、食事制限系のダイエットは体調を崩す元となり、
- 肌荒れ
- 抜け毛
- 骨粗鬆症
などの原因となります。
抜け毛予防方法【改善対策】
それでは、産後の抜け毛を少しでも予防する方法はないのでしょうか?
まずは髪の手入れ方法を見直してみましょう。
今までずっと続けてきた、いつも通りのお手入れが、実はやり方が間違っていることもあるかもしれません。
ホルモンのバランスが崩れたこの時期だから、「今まではなんとかなってきたこと」が、なんとかならなくなっているのです。
その他にも、
- 頭皮の血行促進
- 頭皮を保湿
- 栄養バランス
などチェックしたい項目がたくさんあります。
頭皮の血行促進
産後に起こる骨盤の歪みや、産後の不規則な生活による自律神経が乱れが、血行不良の原因となる場合があります。
つまり、頭皮の血行不良は、元である全身の血行不良を改善する必要があるのです。
- 骨盤の歪みを治す
- 軽い運動をする
- 半身浴をする
など、全身の血行促進が出来ればよいのですが、産後はなかなか時間がなくゆっくりお風呂に入ることもできませんよね。
育児中の方にオススメの方法は、とにかく冷やさないということ!
夏でも冷房で冷えてしまったり、同じ体勢のままでいると血液の循環が悪くなり冷えます。
冷えている=血行が悪い
と言っても過言ではありません!
冬であれば、お腹周りにホッカイロを貼ったり、毛糸のパンツを履いたりするのもオススメです。
また、発毛・育毛には毛細血管の血流をよくすることが大事なので、髪の毛を洗う時に、頭皮マッサージをしてみるのもオススメです。
※ただし、強く刺激しすぎないようにしてください
頭皮の乾燥を防ぐ!【保湿】
妊娠前は頭皮の乾燥とは無縁だった人も、妊娠中や産後に、急に頭皮がかゆくなったり、フケがひどくなることがあります。
乾燥は抜け毛の原因の一つです!
この時期は、ホルモンのバランスが崩れているだけでなく、とくに授乳中の人は栄養不足にもなりがちなので、髪にまで栄養がまわりません。
食事を見直すことはもちろんですが、外からのケアも大事です。
保湿剤や育毛剤を使うのもいいですが、手作り頭皮化粧水で緊急ケアをするのもオススメですよ。
また、いつものシャンプーが合わなくなっていることも考えられるので、シャンプーを変えてみるのも一つの方法です。
授乳中はいつもより栄養を多くしっかり摂る
育毛に必要不可欠な栄養素には、
- タンパク質
- 亜鉛などのミネラル
- ビタミン類
などがあります。
ものによりますが、ミネラルやビタミンは毎日摂る必要があるものが多いため、日々の食生活が大事なポイントです。
さらに、授乳中は通常の倍近く必要な栄養素もたくさんあります。
【ビタミン類】女性の食事摂取基準・推奨量(1日)
18~29歳 | 30~49歳 | 授乳中 | |
---|---|---|---|
ビタミンB1 | 1.1mg | 1.1mg | +0.1mg |
ビタミンB2 | 1.2mg | 1.2mg | +0.4mg |
ビタミンB6 | 1.2mg | 1.2mg | +0.3mg |
ビタミンB12 | 2.4μg | 2.4μg | +0.4μg |
ビタミンC | 100mg | 100mg | +50mg |
ナイアシン | 12mgNE | 12mgNE | +2mgNE |
パントテン酸 | 5mg | 5mg | +4mg |
葉酸 | 240μg | 240μg | +100μg |
ビオチン | 45μg | 45μg | +4μg |
ビタミンA | 600μgRE | 600μgRE | +420μgRE |
ビタミンD | 5μg | 5μg | +2.5μg |
ビタミンE | 8mg | 8mg | +3mg |
ビタミンK | 60μg | 65μg | +0μg |
※ビオチン・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンKに関しては、推奨量ではなく目安量です
※参考厚生労働省「日本人の食事摂取基準について」
ビタミンAは過剰摂取が問題になっていますが、野菜に含まれるβ-カロテン(プロビタミンA)は過剰摂取の心配がありません。
β-カロテンは、緑黄色野菜に多く含まれています。
授乳中も葉酸が必要なことに驚きました!
【ミネラル類】女性の食事摂取基準・推奨量(1日)
18~29歳 | 30~49歳 | 授乳中 | |
---|---|---|---|
亜鉛 | 7mg | 7mg | +3mg |
カリウム | 1600mg | 1600mg | +370mg |
カルシウム | 600mg | 600mg | - |
クロム | 30μg | 30μg | - |
セレン | 25μg | 25μg | +20μg |
鉄 | 10.5mg | 10.5mg | +2.5mg |
銅 | 0.7mg | 0.7mg | +0.6mg |
ナトリウム | - | - | - |
マグネシウム | 270mg | 280mg | +0mg |
マンガン | 3.5mg | 3.5mg | +0mg |
モリブデン | 20μg | 20μg | - |
ヨウ素 | 150μg | 150μg | +190μg |
リン | 900mg | 900mg | +0mg |
※リン・マンガン・カリウムに関しては、推奨量ではなく目安量です
※参考:厚生労働省「日本人の食事摂取基準について」
髪に重要な亜鉛も、この時期は多くとらないといけないようですね。
通常の倍必要な「ヨウ素」は、海藻に多く含まれる成分です。
良質なタンパク質について
タンパク質は、肉・魚などから摂ることができますが、産後の女性にオススメなのは大豆たんぱく質です。
大豆には、女性ホルモンのバランスを整えるのに効果的だといわれている、イソフラボンが含まれています。
大豆製品には、
- 豆腐
- 納豆
- きなこ
- 豆乳
- 油揚げ
- 醤油
- 味噌
など、様々なものがありますので、毎日の食事にとり入れやすいですね。
授乳中のサプリメント摂取について
育毛サプリメントは数多く販売されています。
実は私も今飲んでいたのですが、私個人の考えとしては、授乳中の育毛サプリメントはオススメしません。
確かに、授乳中は多くの栄養素が不足しがちですので、サプリメント等で栄養を補助することもありだとは思うのですが、それならば栄養補助サプリ(妊娠中・授乳中でも飲めるもの)や、もともとが妊娠中に飲むことを前提として作られている葉酸サプリなどを摂るほうがよいと思います。
産後抜け毛は止まるのか
抜け毛はいつになったら止まるのでしょうか?
約1年ほどで抜け毛が減ってくる
基本的なヘアサイクルは、
- 成長期(髪の毛が生える時期):2~6年
- 退行期(髪の毛が抜ける時期):2~3週間
- 休止期(髪の毛が生えるまでの休みの時期):2~3ヶ月
を繰り返します。
ホルモンのバランスが崩れ一時的に大量に髪の毛が抜けても、通常は2~3ヶ月を過ぎた頃にだんだんと髪が生え始め、半年~1年ほどかけて元のヘアサイクルに戻るとされています。
しかし、ストレスがかかり続けると、ヘアサイクルもなかなか正常に戻りません。
また、高齢出産の場合は、なかなかホルモンのバランスが整わなかったり、第二子、第三子と出産回数が増えるにつれ、すぐに体調が戻る人となかなか戻らない人に大きく分かれるようです。
抜け毛を防ぐために
抜け毛が止まらないことを気にしすぎると、それがストレスとなり、どんどん髪の毛が薄くなってしまいます。
抜け毛を防ぐために今できることをコツコツやっていくことで、精神的にも安定することもあります。
食事や生活習慣を見直すことは、抜け毛だけでなく美容にもつながりますよ。
ママになっても、女性としていつまでもキレイで輝いていたいですものね。